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・ 無権限取引(免責規定)

無権限者による支払指図がなされたとき、金融機関はいかなる場合に当該指図を正当な権限を有する者からの指図として扱うことが出来るのか、あるいは当該指図に応じて処理をした銀行がいかなる場合にその行為について責任を免除されうるかを明確化する必要があるのではないか。

 

・ 事故・障害等により損害が生じた場合の当事者間の責任関係

電子資金取引における依頼人、仕向銀行、被仕向銀行、通信事業者等多数の当事者間の責任分担ルールの設定が必要ではないか。

 

?D EFTの法制整備については、国連の国際商取引法委員会(UNCITRAL)等の国際機関においてEFTに関する法的な問題について検討が進められており、国際振込についての統一ルール(国際的なモデル法)が公表されている。本ルールは、特に、以下に示すような、資金返還義務、振込が遅延した場合の損害賠償責任、無権限取引による損害負担に関するルールが設けられたことが特徴である。アメリカでは、連邦EFT法が施行されているが、この法律では、無権限取引による損害負担ルールとしていわゆる50ドルルールが採用されている。

 

(参考1)

「国際振込に関するモデル法」(国際連合国際取引法委員会(UNCITRAL)1992年)

・ 無権限取引による損害負担(第5条)

銀行が顧客との間であらかじめ合意されたセキュリティ手続に従い支払い指図を承諾した場合には、その支払い指図が無権限のものであっても責任を負わないという規定

・ 資金返還義務(第14条)

通称マネーバックギャランティと呼ばれ、振込を完了しなかった場合、銀行がその故意・過失の有無に関係無く振込資金を返還するという規定

・ 振込が遅延した場合の損害賠償責任(第17条)

銀行が故意・過失がある場合を除き、賠償責任の範囲は遅延利息のみに限定されるという規定

 

(参考2)

「連邦EFT法」(1980年施行)

・ 50ドル ルール

消費者がカード等EFT利用手段の紛失や盗難を知ってから、2営業日以内に金融機関に通知すれば、無権限取引が行われても責任額の上限が50ドルに限定されるという規定

 

 

 

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